はじめに
ビットコインは、その分散型の性質と匿名性から、世界中でさまざまな反応を引き出しています。この記事では、いくつかの主要な国々がビットコインに対してどのような法的立場を取っているのかを探ります。
アメリカ
アメリカでは、ビットコインは商品として扱われ、その取引は商品先物取引委員会(CFTC)によって規制されています。しかし、州によっては独自の規制があります。
連邦レベルの規制
アメリカでは、ビットコインは商品として扱われ、その取引は商品先物取引委員会(CFTC)によって規制されています。また、米国内国歳入庁(IRS)はビットコインを課税対象の資産と定義しています。
米国証券取引委員会(SEC)は、ビットコインを証券とみなし、2018年3月に証券法をデジタルウォレットと取引所に適用することを宣言しました。
州レベルの規制
アメリカの各州では、ビットコインに対する規制は異なります。例えば、テキサス州では仮想通貨トレーダーは資金移動業のライセンスを取得する義務がないため、テキサス州はビットコインに対して友好的とされています。一方、ワシントン州では、電子通貨の取引には特別な許可が必要となる可能性があり、ワシントン州はビットコインに対して敵対的とされています。
ヨーロッパ連合
ヨーロッパ連合(EU)では、ビットコインは法定通貨ではないが、VATが免除される「通貨」であると認識されています。各国での規制は異なりますが、AML(反マネーロンダリング)とKYC(顧客認知)の規制が強化されています。
VATは「taxe sur la valeur ajoutée」のフランス語の略で、英語では「value-added tax」(付加価値税)と呼ばれます。いくつかの違いはあるものの、日本の消費税に似た課税です。
暗号資産市場規制法(MiCA)
暗号資産市場規制法(MiCA)は、EU加盟国間で暗号資産に関する一貫した規制枠組みを作成することを目的としています。
この法律は、暗号資産ウォレットプロバイダーが資金を送金する際に顧客を特定することを義務付け、取引所やウォレットプロバイダーなどの暗号資産企業に欧州連合全域で活動するためのライセンスを提供し、ステーブルコインの発行者に対して新しいガバナンスと財務要件を導入しています。
この規則は2024年12月30日から適用され始めます。法律の一部は、6ヶ月前の2024年6月30日から施行されます。
投資家保護
MiCA法の主要な要素には、仮想通貨の発行者、取引所、およびウォレットプロバイダーの登録および認可要件が含まれます。
MiCA法によれば、ステーブルコイン発行者は、一定のセキュリティおよびリスク軽減要件を満たす必要があり、仮想通貨管理サービスは、潜在的なサイバーセキュリティおよび運用上のリスクに対処するために十分なセキュリティおよび安全対策を確保しなければならない。
この法律はまた、仮想通貨分野での市場における不正行為、インサイダー取引、および相場操縦的行為を防ぐための枠組みを提供しています。
日本
日本では、ビットコインは法的な支払い手段として認められています。また、仮想通貨交換業者は金融庁に登録する必要があります。
改正資金決済法
2017年4月1日に施行された「改正資金決済法」は、仮想通貨に関する初めての法律です。この法律によって、日本における仮想通貨の存在は、公に認められることとなりました。それと同時に、国による規制を受けることにもなりました。
仮想通貨交換業者
仮想通貨の売買を行う業者は、「仮想通貨交換業者」として登録が必要になりました。2017年10月1日に、金融庁は「仮想通貨交換業者」として16社を登録しました。
金融庁の立入検査
2018年1月の巨額流出事件を受け、金融庁は取引所への緊急の立入検査を実施しました。既に「仮想通貨交換業者」として登録済みの業者も対象となり、主にリスク管理体制を検査したと見られています。
自主規制
金融庁の厳しい姿勢を受け、業界での自主規制も進められています。仮想通貨交換業者・全16社が参加し、「日本仮想通貨交換業協会」が設立されました。
中国
中国では、ビットコインの取引は厳しく規制されており、金融機関はビットコインの取引を行うことが禁止されています。しかし、個人のビットコインの所有と交換は合法です。
仮想通貨の全面禁止
中国では2021年から仮想通貨の取引が全面禁止となりました。中国人民銀行は2021年9月24日に仮想通貨に関連する取引を全面的に禁止にすると発表し、これにより仮想通貨の主要通貨であるビットコインは一時9%も価格が下落しました。
マイニングの禁止
中国はあらゆる形態のマイニングを禁止しました。中国はかつてビットコインマイニングの中心地であり、2019年にはビットコインマイニングの世界シェアの75%を中国が占めていました。
規制の理由
中国政府は「国家管理経済」のビジョンを掲げており、管理できない仮想通貨はそのビジョンに反します。中国では2022年からデジタル人民元(CBDC)が発行されており、国内28都市で総取引高は6,200億元にのぼっています。
法定通貨としてのビットコイン
エルサルバドルは2021年9月に世界で初めてビットコインを法定通貨として認めました。また、中央アフリカ共和国は2022年4月にビットコインを法定通貨として採用し、世界で2番目となりました。
他にも、トンガ王国やメキシコのようにビットコインを法定通貨として採用することを検討している国もあります。
まとめ
ビットコインの法規制は、国や地域によって大きく異なります。これは、ビットコインの新しさとその革新的な性質が、既存の法的枠組みに完全には収まらないことを反映しています。これらの規制は、ビットコインが主流になるにつれて進化し続けるでしょう。
以上の情報は2021年時点のものであり、最新の情報を得るためには各国の公式ウェブサイトや信頼性のあるニュースソースをご覧ください。ビットコインを取引する前に、自分の国の規制を理解することが重要です。ビットコインの法規制は複雑であり、専門的な法的助言を求めることをお勧めします。
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