はじめに
ビットコインは、その分散型性とセキュリティの高さから、世界中で利用されているデジタル通貨です。しかし、その運用には大量のエネルギーが必要であり、環境への影響が懸念されています。
ビットコインマイニングとエネルギー消費
ビットコインの取引を確認し、新たなビットコインを生成するプロセスを「マイニング」と呼びます。このマイニングには膨大な計算能力が必要で、それに伴い大量の電力が消費されます。
ビットコインの価格とマイニングに必要なエネルギーには直接的な相関関係があることが示唆されています。
2020年から2021年の期間に、世界のビットコイン・マイニングネットワークが173.42テラワット時(TWh)の電力を消費していることが発見されました。
2021年から2022年にかけてビットコインの価格が400%上昇したことで、世界中のビットコイン・マイニングネットワークのエネルギー消費量が140%増加しました。
当時、化石燃料はビットコインマイニングに使用される電力の67%を占めていました。
再生可能エネルギーの利用
仮想通貨業界は、再生可能エネルギーへの依存を高めるために積極的な措置を講じています。
水力発電は、世界のビットコイン・マイニングネットワークの総電力需要の16%以上を満たしています。
原子力、太陽光、風力エネルギーは、それぞれ9%、2%、5%を供給しています。
環境への影響
ビットコインのマイニングによるエネルギー消費は、一部の国のエネルギー消費を上回ると言われています。これは、化石燃料に依存する電力供給が主流であるため、二酸化炭素排出量の増加につながります。
そのため、ビットコインマイニングは、その莫大な電力消費量から、環境負荷が高いという警鐘が鳴らされています。
しかしそれを受けて、よりエコにマイニングが行える性能の高いマイニングシステムの開発がされたり、PoWではなくPoSの仕組みを持つ暗号資産も増えています。
ビットコインマイニングと環境問題
ビットコインのマイニングには非常に高性能なコンピューティングシステムが必要であり、それに伴って多大な電力を消費します。
エネルギー問題やエネルギー生産に伴う廃棄物、排出ガスが地球環境に影響を与えるのは間違いないでしょう。
ビットコインマイニングの電力消費問題に対する対策
ビットコインマイニングの電力消費は確かに高く、エコとは言えないシステムでした。しかし、これを受けてよりエコにマイニングが行えるようなシステム開発に着手しています。
例えばIntel社は、高性能なビットコインマイニングシステム「Black scaleASIC」を開発しました。この新型のシステムでは、従来のASIC機器よりも電力消費量を削減でき、持続可能性を損なわずにより高度な計算を早く行えます。
ASIC(Application Specific Integrated Circuit)は、「特定用途向け集積回路」を意味します。これは半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)の一種で、特定の機器や用途のために必要な機能を組み合わせて設計、製造されます。
また、PoWではなくPoSの仕組みを持つ暗号資産も増えています。PoWからPoSへの移行により、マイニングに必要な電力消費が大幅に削減されます。これは、PoSではコインの保有数や保有年数によってマイニングの難易度が決まるため、特別な計算作業を必要とせず、その結果としてエネルギー消費が大幅に減少します。具体的には、イーサリアムがPoWからPoSに移行したことで、消費電力量を99.95%削減可能となりました。
PoWはプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)、PoSはプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake)の略です。
まとめ
ビットコインの利便性と安全性は魅力的ですが、その裏には環境への大きな影響があります。持続可能な未来を目指すためには、この問題に対する解決策を見つけることが重要です。
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